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身の回りのお金

お金のことを伝えるといっても、我が家のリアルなお金はどこまで話す? 友達との付き合いかたはどうする? と悩みは尽きません。
子供にも身近なお金をテーマに、家庭でのお金の教育の進め方、日常会話を工夫のしかたを公開します!

  1. 子供が、家のお金事情を話してしまう…の対処法
  2. 金銭感覚と違うご家庭とどうつきあう?
  3. 「うちってお金持ち?」と聞かれたら…
  4. 子供に社会保障制度をどう伝える?
  5. 消費税分がお得なキャッシュレス決済、子供に使わせる?

子供が、家のお金事情を話してしまう…の対処法

Q1 生活費の話を子どもとすると、内情を外で話してしまいそうで不安なのですが、どう伝えるといいですか?(小1女子の親)

A1 外で話しても構わない身近な例で伝えましょう。

小学校低学年の頃は 大きな金額の数字の単位に実感がなく、100万円も100円も同じ「100」の感覚で捉えているかもしれません。
そういった観点から考えると、住宅ローンの話は少々早いでしょう。子供に住宅ローンは後いくら残っているのと聞かれて、うちはあと2~300万円ぐらいで払い終わると正直には話したら、同じマンションのお友達に言いふらしていたという失敗エピソードも聞いたことがあります。
そのため、生活費の話をするとすれば、子供がとらえやすい金額、身近な項目がよいでしょう。

小学校低学年なら、子どもが普段あまり意識していない当たり前の日常にお金がかかっていることを伝えてみましょう。金額の大小というより、ニーズなのか、ウォンツなのか、使う目的を意識することに目を向ける伝えかたもおすすめです。
具体例をいくつか挙げてみます。

  1. 光熱費から、「生活に必要なお金」(=ニーズ)を伝える
    水道の水や下水道使用料、電気やガスなどの光熱費は、当たり前のように使っていて、子供にとってはお金がかかっていることが見えにくい費用です。無いと困る「ニーズ」に当たるので、毎月の支払い分はとっておかないといけないことを伝えます。また、環境保護などの視点と絡めて無駄遣いを防ぐためにできることを話し合うのもいいですね。
  2. 食材から、予算の中でのバランスを伝える
    家族で食べるカレーを作る材料をリストに挙げ、全部でいくら位で買えるのかまず予想します。次に実際に買い物に行って、いくらかかったのか比較してみます。子どもの好きなお菓子などの価格と並べてみてもいいでしょう。買い物も工夫するとゲームのように楽しみながら物価の感覚が身に付いてくるようになります。
    ここでも健康のために必要な食品「ニーズ」と、楽しみのためのお菓子などの嗜好品「ウォンツ」どちらに当たるのかを考え、ニーズだけでも味気ない暮らしになるし、ウォンツばかりでは健康を損なうかもしれないなど、お金の使い方はバランスが大切なことを伝えましょう。
  3. おでかけの際に目的から必要性を考える
    遠くまで車で出かけるときにガソリン代の話をしてみましょう。メーターと金額を見て、1回満タンにするにはいくら位かかるか、ガソリンの価格が変化するのはなぜかなどという切り口でもいいですし、同じガソリン代でも通勤や通学に必要なガソリン代は「ニーズ」、レジャーに出かけるときは「ウォンツ」かな、などと使う目的という切り口から話すのもいいでしょう。

こうした内容でしたら、子どもが外で話したとしても問題なく、かえってしっかりした金銭感覚を持っている印象を与えることでしょう。

金銭感覚の違うご家庭とどうつきあう?

Q2 生活費の感覚が違うご家庭のお友達ができ、付き合い方にとまどっています。子どもにどう伝えたらいいですか?(小5男子の親)

A2 自分の家の軸を作っていきましょう。

「よそはよそ うちはうち」 この決め台詞を言いたいところですが、小5くらいになったお子様が納得するには、この決め台詞だけでは難しいかもしれません。
こうした感覚の違いは大人でも良くありますね。その違いを理解して受け入れるために大事なのは、お金の使い道へのゆるぎないルールがあるかどうかです。小学生の子どもであれば、親のルールがまずは軸になります。感覚が違うと感じる部分に関して、まずは親自身がしっかりとした考えを持ち、場面によってコロコロ変わるようなことなく、一貫したルールで子供に接するようにします。そして、相手のご家庭の考え方を否定するようなことのないよう配慮しながら、話し合いに進みましょう。

例えば、お子さんが遊びに行くとき「〇〇くんは、いつも1000円持ってくるから、ぼくも1000円は欲しいんだよな」と言われた場合。これを多すぎると感じるのであれば、その理由をきちんと話します。「1000円の使い道は何かな?教えてくれる?」「お金を使わない遊び方も楽しいと思うけどどうかな?」「1回は1000円って軽く言うんだけど、1か月に4回だと4000円になるね」などの提案や、質問をしながら、親子で納得のいく妥当だと思われる金額の結論を引き出しましょう。

妥当な金額とは、年齢や常識などからの漠然とした感覚ではなく、何をどういう目的で買う、食べるからといくらになるという「根拠」をもって決めましょう。子どもにとっての説得力も増しますし、今後価値のあるお金の使い方を自分自身で考えられることに繋がるでしょう。
話し合いの結果、友達より持っていく金額が少なくなるとみじめな思いをするのではないかと心配するかもしれませんが、我が家のルールや考え方が子供にきちんと浸透していれば、大丈夫です。逆に金額の根拠をお友達にレクチャーして、やりくり上手に変えてしまうかもしれませんよ。

「うちって、お金持ち?」と聞かれたら…

Q3 うちってお金あるほうかな?と聞かれたらどう答えたらいいですか?(小4女子の中2男子の親)

A3 質問の理由、子供なりの心配事を聞いてみましょう。

どうしてその質問が子供の口から出たのかをまず探ってみましょう。無邪気に聞いただけかもしれませんし、もし子供の中にあるお金の心配事が原因だとしたら、心配を解決する方法を一緒に考える方向にもっていけばいいと思います。

会話の例(小4女子)

親:なぜうちにお金があるかどうかが知りたいの?
子:お友達のおうちは、お金持ちだから、遊園地のパレードが見えるホテルに家族みんなで泊まれるんだって聞いたから。うちはどうかな~って。
親:〇〇ちゃんは、今一番したいことが遊園地の近辺のホテルに泊まることなの?
それなら、そのために、いつ行くのか、いくらかかるのか、今から計画すればできるかもしれないよ。
調べてみようか
子:やってみる!

会話の例(中2男子)

親:なぜうちにお金があるかどうかが知りたいの?
子:野球の強い○○高校に進学するには、お金がかかるんだろうなって思ったから。
親:甲子園をめざすの? どのくらいの学費がかかるのか調べてみましょう。
子:高いらしいよ。
親:中2の今の段階で話してくれてよかったわよ!時間があれば準備ができるから。

ちなみに私立高校の学費に関しては高等学校等就学支援金制度が充実しています。利用できる制度を良く調べ、お金の心配を少しでもやわらげて、お子様の将来の夢をぜひ叶えていきたいですよね。「相談してくれてありがとう!」と返せば、難しい年ごろに差し掛かるお子さんが、今後もお金だけでなく心配事を相談しやすい雰囲気になるのではないでしょうか。

子供に社会保障制度(年金)をどう伝える?

Q4 ぼくたちの世代は、年金がもらえないんでしょ?と、どこからか聞いてきたようです。子供達の将来への不安にどう答えたらいいですか?(小3男子の親)

A4 お金の会話は、親子で社会のしくみを学ぶチャンスです。

大人の不安を誘ったいわゆる「老後2000万円問題」などが頻繁にテレビなどで報道されたことで、「年金」という言葉を知っている子供が増えたように感じます。知ってるとはいえ、小学生ではその仕組みをよく理解しているわけではなく、周りの大人が話していることや、ニュースなどで聞く自分が分かる言葉だけを拾って、子どもなりに解釈しているということがほとんどかと思います。
「日本の年金制度が破綻するから大変!貯金しなくちゃ」などと、無駄遣いを戒めるつもりで冗談交じりで貯金しなさい!と言ったつもりの発言が、子どもに誤った認識を植えつけられないとも限りません。
身近な大人である親が年金に対してどう考えているか、それを家庭でどう伝えていくのかが、子供が年金制度をどうとらえるかに大きくかかわっていると考えられます。
まずはお子さまが年金問題に興味をもったことを すごいね!と評価し、日本の年金制度は、支えあい、助け合いの仕組みであることを伝えましょう。また、そのほかの社会保障制度についても一緒に調べてみるとよいでしょう。

「どうせもらえないから国民年金保険料を納めない」という若者が増えているということも聞きますが、老後のため(老齢年金)だけではなく、日本の年金制度には障害年金や遺族年金という側面もあることも知っておきたい点です。
また、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、年金財源をどう運用しているかを調べることは大人にとっても興味深いかと思います。子どもの何気ない質問は、こうした社会の大事な仕組みを伝える絶好のチャンスになります。

消費税分がお得なキャッシュレス決済、子供に使わせる?

Q5 子供が、キャッシュレス決済は消費税分がお得になるので、使いたいと言っています。使わせるなら、気を付けることはありますか?(小5女子の親)

A5 4つのポイントを伝えて始めましょう。

「○○カードで買うと、○○ポイント」や「キャッシュレスで○○%還元」などの表示が増え、大人はキャッシュレス支払いを利用することが急速に増えてきました。とても便利で、ポイントが付いてお得に買い物ができるため、おこづかいをやりくりする子供も達が使いたいと考えるのもわかります。
しかし、子供達が、キャッシュレスでの支払いをどう捉えているのか、驚くような話を聞くことがあります。

例えば、お店で買うとお金がかかるけど、家のパソコンから買えばお金がかからないから、パソコンから買おうと言ったとか、親がチャージして渡した交通系電子マネーで、子供が魔法のカードのごとく買い物をしたとか。
減ることが目に見えないキャッシュレス支払いでは、「使ったらなくなる」「限りがある」といった当たり前の感覚が培われにくいです。とはいえ、時代の流れがキャッシュレス支払いに傾いていく中にあって、今後社会に出ていく子ども達にキャッシュレス支払いを全く使わせないという選択は発展的ではないでしょう。

  1. 親子で話し合う
    親子で一緒に過ごす時間が多い小学生のうちに使い始め、機会あるごとに減っていることを強調して伝える、チャージするところを見せる、見せるだけでなくその意味を子供から親に説明させてみるなど、データの裏に現金の存在とその量をイメージできるような語り掛けを繰り返すことが効果的ではないかと考えています。
  2. 残高を管理する
    残高の管理をすることも大事です。現金と同様、使ったりチャージしたらおこづかい帳に付けること、レシートを取っておいて残高を聞いたら答えられるようにするなど、キャッシュレス決済を使うルールを決めておくと良いでしょう。
  3. 現金などを使ってシミュレーション
    数字は記号です。数字上で引き算をして減っていることと、量が減っていることを結びつけてイメージするのは、小さな子供には難しいです。キャッシュレス決済で行ったことを、家に帰って現金でも表現してみるなどの工夫を加えるといいかもしれません。
  4. メリット・デメリットを知る
    子供が利用できるキャッシュレス支払いの方法は限られます。さらに統一された規格でどこでも同じ方法が使えるというわけではないので、キャッシュレス決済が使えない場面もまだ多いでしょう。扱う金額が少額で済む子供のうちに、キャッシュレス決済にすることで起こる様々なメリットとデメリットを親子で一緒に確かめながら、使い方の練習をしていけるといいでしょう。

キャッシュレス決済の仕組みを子供に説明することなく渡して自由に使えるようにしてしまったり、オートチャージの設定(子供のカードではできない場合が多いですが)になっていたりすることのないように、親自身もキャッシュレス決済は金銭感覚がマヒしやすいことを肝に銘じて利用するようにしてください。