「お金の教育・キャリア教育」はなぜ必要?
電子マネー・キャッシュレス・仮想通貨など「見えないお金」が急速に普及してきています。買い物もネットで簡単にできる便利な時代になりました。大人でさえ、現金を使う機会が減っていますよね。
子どもたちはお金を使うこと、お金の大切さを知ること、スーパーやお店で買い物をすること、色々な職業の人が人のために働いていること、お金は(電子マネーやスマホの中に入っているとしても)働くことによって得られること、など大切なことを学ぶ体験が少ない中で成長していきます。
また、一方で職業や働き方の多様化、グローバル化、AI(人工知能)やロボットの登場などにより、私たち親世代とは違う環境で生きていくことになります。小さいころから「お金・キャリア(職業・生き方)」のことを学び考え、いろいろな経験・体験をさせることが大切なのです。
子供にお金の大切さを教えるには
Q1 子供に「お金の価値観」を上手に伝える方法はありますか?(小学1年生の親)
A1 小さいころから、家庭の方針を伝えましょう!
「お金の価値観」は家庭によってそれぞれです。大きくなれば友達や大人たちとの関わりの中から学ぶこともたくさんできますが、まずは幼いころから家庭内で「我が家はこう考えている」といった基本的なことを伝えていきましょう。
例えば、
- パパ、ママ、おじいちゃん、おばあちゃんがくれるおこづかいやプレゼントはどうしてくれるのかな?
働いて貯めたお金を〇〇くん、〇〇ちゃんに喜んでほしいと思って贈ってくれたんだね。感謝して大切に使わないといけないね。 - パパ、ママはお仕事をしてお給料(お金)をもらえるんだけど、どうしてだと思う?
お仕事をして人の役に立つことで、喜んでもらって「ありがとう」の気持ちと引き換えにお金をもらえるの。〇〇くん、〇〇ちゃんも人の役に立てる人になろうね。 - 最近では、10円玉や100円玉や1000円札のほかにもカードやスマホで買い物ができるのを知ってる?
どうしてかな?それはカードやスマホの中に銀行にいくらお金が残っているか情報が記録されていて、今月はいくら使えるか覚えているからなの。いくらでも使いたいだけ使えるわけじゃないんだよ。
よく考えて使わないとね。
など、家庭でも「お金」について話してみましょう。家庭の価値観を伝えるには長い時間をかけてコツコツと進めることが大事です。「お金」に興味を持ち始めると、「〇〇ちゃんはもうおこづかいをもらってる」「〇〇くんはたくさんゲームソフトを持ってる」などという子もいます。おこづかいを何に使うのか、なぜゲームソフトがそんなに必要なのか」を一緒に考えてみましょう。
「仕事」について一緒に考える
Q2 子どもに「将来、〇〇になりたい!」と言われたら、どんなサポートが必要ですか?(小学3年生の親)
A2 「好きなことを仕事にできる夢」を温かく見守ることが大切です。
昔から男の子には「野球選手」や「サッカー選手」、女の子には「幼稚園の先生」や「花屋さん」が人気でした。公務員、医師・看護師・薬剤師、建築家などかなり現実的な希望も多いですね。
一方で、私たち親世代には考えられなかった働き方が「職業」として定着してきています。
例えば、Youtuberとかe-sport選手、ゲームクリエイター、CGクリエイター、ネイルアーティストなど。
以前、次のような質問をいただいたことがあります。
「小学校5年の娘が学校の宿題で、『将来なりたい仕事について調べる』というのがありました。今まで割と消極的な性格で将来の夢などを語ることもなかったのですが、職業についていろいろ調べていくうちに『トリマー(※)』という仕事に興味を持ち、それは熱心に調べ始めました。ところが父親が『トリマーなんて、重労働の割に給料は安いぞ。もっと他の仕事にした方がいい』と発言したのです。初めて夢を持った娘に母として、どんな声をかけたらいいでしょうか。」
※ 犬や猫などペットのシャンプー・カット・ブラッシング・爪切りなどを行う。毛や皮膚、爪の手入れなどの健康管理も行う。
とても回答に迷う質問でしたが、下記のような回答ができる親であれたらと思います。
「娘さんが初めて抱いた夢を応援してあげてください。トリマーになるにはたくさん勉強しなくてはならないし、学校に通うお金もかかる。仕事は大変なのに、お給料は安いかもしれない。でも自分が費やしてきた時間や努力に対する報酬が見合ったものかどうかは、もう少し大きくなれば判断できるようになるはず。好きなことを仕事に出来るって素敵なことですよね。見守ってあげましょう。」
大人が先入観で頭ごなしに否定してしまったら、子どもたちは学ぶこと・努力すること・夢に向かって頑張ることをやめてしまうのではないかと思います。前向きに頑張れるように見守ることが親の使命ではないでしょうか。
さらに、近い将来、人間がしてきた仕事がAIにより、なくなっていくとも言われています。アメリカの未来学者で人工知能研究の権威でもあるレイ・カーツワイル氏は2029年にはコンピュータの知性が人間を超える、2045年にはコンピュータ、AIの能力が全人類の知能を合わせたくらいのレベルに達すると予測しているそうです。オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン氏は「今後10~20年の間にアメリカの総雇用者の約47%の仕事が自動化される可能性が高い」と報告しています。なんだか映画の世界のようですが、実際にそんな将来が来るということですね。新しい職業について、親も一緒に学ぶ必要があるのです。
でも、医療や介護、保育の分野など人と人とのつながりが大切で人でしかできない仕事もたくさんあります。新たに自分の特技を活かしてビジネスを起こす若者もたくさんいます。
自分が好きなこと、得意なことを活かして将来どんな仕事につきたいか、親子で一緒に考える機会を持つことはこれからとても大切になってくると思います。