ポイント

高校で金融教育が義務化された目的とは?金融教育が義務化された理由や具体的な授業内容を解説

金融教育 義務化

学校教育における新たな動きとして、金融教育が正式にカリキュラムに組み込まれ、生徒たちが資産管理や経済知識について学ぶことが話題となっています。

【金融教育の義務化した理由】

  • 若い世代が直面している経済的な課題
  • 適切に対応するために必要な基礎的な金融の知識への要求

この取り組みは、単に財務管理の技術を超え、未来の生活計画や資産の築き方への理解にも繋がることから、教育機関での金融教育の充実が急務とされ、金融教育を義務化する動きに影響を与えています。

また「金融教育」においては、以下のようなことを中心に学んで行きます。

【金融教育で履修する内容】

  • 貯金や投資の基礎
  • リスクの管理方法
  • 経済の動きへの洞察

さらに、金融商品の選択方法や、日常生活における金融問題への対応力を養うことも、金融教育の必須化によって目指されています。

この記事では、金融教育がいつから義務付けられたのか、そして義務化された金融教育でどのような授業内容が提供されるのかについて詳しく説明します。

このページで分かること

  • 金融教育を義務化した目的
  • 【学級別】金融教育で履修する内容
  • 金融教育をより深く学べる学習教材

※当記事は2024年現在の情報になります。

※本ページにはPRが含まれます。

金融教育を義務化した目的

金融教育の義務化は、2022年4月の法改正により、18歳の成年年齢への引き下げが行われた時期に合わせて導入されました。

導入の背景には、クレジットカードの作成やローン契約が可能となり、金融取引における自己責任が一層重要視されるようになったためです。

また法改正の時期に合わせて、小学校、中学校では、それ以前から金融教育が必修科目として導入されていました。

【金融教育の義務化された時期】

  • 小学校:2020年度より金融教育が義務化
  • 中学校:2021年度より金融教育が義務
  • 高校:2022年度より金融教育が義務

その結果、若者自身が賢明な金融判断を下せるように、学校教育での金融リテラシーの向上が急務と認識されました。

また義務化された背景には、日本の金融教育水準が国際的に見ても低いと評価されたことも関係しています。

【金融教育導入の背景】

金融教育の義務化とは、学習指導要領の改訂を通じて、学校教育の中での金融教育の内容や体系を一新するものを指します。

加えて金融教育導入の背景には、従来からの金融教育の不足が大きく影響しています。

多くの日本人が学校で金融教育を受けた経験がなく、金融リテラシーの低さが指摘されていたのです。

この問題に対処するため、政府は教育システムの改革に乗り出し、金融教育を必修科目として高校のカリキュラムに組み込むことにより、次世代の金融リテラシー向上に努めています。

この改革は、若年層が直面する経済的課題に対応し、新しい時代に適応するための重要なステップとして位置づけられています。

具体的には、「学習指導要領」の見直しを通じて、未来を担う若者たちに必要な金融知識とスキルの習得を目的にしています。

学校で金融教育が義務化した要因

先ほども解説したように、すでに金融教育は小中高、いずれの学校でも始まっており、高校では投資や資産運用に関する授業が必修化されるなど、広がりを見せています。

では、こうした背景にはどのような要因が関係しているのでしょうか。

今回の記事では、特に大きな要因といえるものを4つ挙げました。

学校での金融教育が義務化された要因

  1. 金融リテラシーの習得
  2. 若年層における金融トラブルの増加
  3. 資産運用の必要性の高まり
  4. 諸外国との金融教育事情の遅れ

①金融リテラシーの習得

金融と経済に関する正しい知識と判断力を「金融リテラシー」といいます。

金融リテラシーは、現代社会において必須ともいえるほど重要なスキルです。

詐欺に巻き込まれるリスクを軽減するためや、ローンを組む際の適切な判断を下すためには、金融リテラシーが欠かせません。

高校での金融教育が義務化された背景には、多くの人々が金融トラブルに遭遇するなかで、正しい金融知識が未だに浸透していない点が挙げられます。

特に若者は、経済活動に参加する初期段階であり金融知識が乏しいため、さまざまなトラブルに簡単に巻き込まれてしまう恐れが大きいです。

金融リテラシーの習得には、多くのメリットがあります。

まず、詐欺や不当な取引から身を守る能力が向上します。

次々と新手の詐欺が生まれる現代において、悪質な詐欺から身を守る知識は大切です。

また、適切な資産運用や将来のライフプランを考える上でも、金融リテラシーは大きな役割を果たし、経済的な自立や安定した生活を築く土台となります。

②若年層における金融トラブルの増加

2022年4月1日、日本の成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。

この変更により、18歳からの若者が、親の同意なしにクレジットカードを作成したり、高額商品の購入に際してローンを組む機会が増えるようになりました。

それまで成人に達するまで制限されていた金融活動が解放されるので、自然と金融関連のトラブルのリスクも増大します。

全国の消費生活センターのデータによれば、20代からの金融トラブルに関する相談が増加しており、特に投資や高額請求に関する問題が目立ちます

未成年時に親の同意なしでの契約は、未成年者取消権により取り消せたものの成人となるとこの取消権は失われるため、取り返しのつかない事態に陥る恐れも無視できません。

さらに2023年からはNISAの対象年齢が18歳からとなり、一部の金融機関ではクレジットカード契約も成人となった18歳の本人の意思のみでできるようになりましたが、多くの18歳はまだ社会経験が乏しく、詐欺の標的となりやすい状況にあります。

若者が経済的に自立するため、そしてトラブルを未然に防ぐためには、早い段階からの金融リテラシーの習得が不可欠です。

正しい知識を有することで、未来の金融トラブルの防止が期待されます。

③資産運用の必要性の高まり

資産運用の必要性が高まっている点も、金融教育義務化の要因です。

日本の社会が直面している少子高齢化の影響は、多岐にわたります。

とりわけ、年金財政の厳しい状況は、多くの市民の生活を直接的に影響させる問題として焦点を浴びています。

公的年金のみに依存した老後生活は、これからの日本社会で厳しくなっていくとの見方が強いです。

老後を安心して迎えるためには、自分自身での資産形成が不可欠という認識も広まりつつあります。

しかし現代の経済環境下、預貯金だけに頼ってもお金はほとんど増えません。

超低金利の時代ではただ預けるだけではなく、賢くお金を運用する技術や知識が求められます。

義務化された金融教育には、若い世代から資産の運用方法やリスクを理解し、実践する力を身につけようとする狙いがあります。

④諸外国との金融教育事情の遅れ

日本の金融リテラシーは国際的に見ても低い水準にあると、いくつかの調査が示しています。

特に金融広報中央委員会が公表した「金融リテラシー調査2019」では、日本人の金融知識や技能が他国に比べて劣る点が明らかにされました。

金融教育を学校で受けた人の割合において、日本が7%であるのに対し、米国は21%という大きなギャップが確認されています。

出典:金融広報中央委員会 金融リテラシー調査(2019年)

アメリカは1960年代から金融経済教育を行う動きが始まり、クレジットシステムの進展と共に、金融教育が市民の生活に密接に関わるものとして位置づけられています。

一方、イギリスでは「シティズンシップ」という教科を導入し、市民としての基本的な知識や技能を学ぶなかで、お金や金融に関する教育にも積極的です。

これらの国々と比べると、日本の金融教育の導入は遅れをとっていると言わざるを得ません。。

日本の金融リテラシーの低さは、若年層を中心に金融トラブルの増加を招いてきました。

今後は学校教育の中で金融教育が取り入れられることで、若い世代から金融知識を身につける環境が整備されるべきです。

金融教育で施される授業内容

「金融教育義務化」とは、主に高校での金融教育必修化を指しますが、小学校・中学校・高校、いずれの学校でも金融教育はおこなわれています。

では、それぞれの学校ではどのような金融教育を提供しているのでしょうか。

金融教育プログラムは、各成長段階に適した内容を提供しています。

小学校、中学校、高校と進むにつれて、特定の「金融教育」という教科として学ぶのではなく、各教科の中でお金に関する知識を取り入れて学ぶ形となっています。

このプログラムは小学校から高校までの間で連携しており、学年が上がるにつれて各分野の知識が段階的に深まる設計です。

小学校で学ぶ金融教育の授業内容

小学校における金融教育は、生徒たちの成長段階に応じて段階的に学ぶ内容が設定されています。

低学年の時点では、生徒たちは物やお金の価値、限られた予算内での買い物、そして計画的なお小遣いの使い方について学びます。

この段階では、お金の基本的な使い方やその価値を理解するのが主な目的です。

中学年になると、生徒たちは「欲しいもの」と「必要なもの」の違いを学んでいきます。

また、こづかい帳を使ってお金の使い方を記録する意義や、銀行にお金を預けることで得られる利子についても触れて学びます。

一方、高学年ではさらに深い知識の習得を目指す内容です。

生徒たちはお金の賢い使い方や計画的な買い物方法を学んでいきます。

さらに、社会保障制度の存在や、家計、企業、政府、銀行といった経済主体間での物やお金のやり取りについても教えられます。

中学校で学ぶ金融教育の授業内容

中学校の金融教育は、生徒たちの日常生活における経済的な認識をさらに深める内容です。

初めに、家計の収入と支出に関する知識を学ぶことで、金銭の流れを正しく理解します。

キャッシュレス決済の普及に伴い、各種カードを使用した際の「見えないお金」の使い過ぎへの注意喚起も扱います。

加えて、金利に関する知識を習得し、貯蓄や運用への継続的な取り組みの重要性を学ぶなど、より高度な内容が特長です。

さらに生徒たちは、保険の役割や金融機関の多様な種類とそれらの機能、さらには消費者としての権利や責任についても学びます。

経済ニュースで頻繁に取り上げられる「円高・円安」の意味や影響についても触れる機会も設けられ、次の金融教育への足掛かりを作る内容も多いです。

実際の生活の中での金融知識の活用も重視されており、修学旅行などのイベントを通じて、実際の収支管理を体験する取り組みも実施されています。

高校で学ぶ金融教育の授業内容

2022年から金融教育が義務化された高校では、小中学校で学んだ金融リテラシーをさらに深化する内容を扱います。

高校の金融教育は、金融教育の必修化の中心に位置しています。

授業ではお金の管理や運用について、大人たちも注目するような実践的なテーマが盛り込まれており、生徒たち自身が興味を持って学べるよう、工夫が凝らされているのが特徴です。

家計の運営や将来の経済計画を立てる上での基礎知識として、金融商品の特徴や資産の形成方法に関する内容も教えられます。

給与明細を利用しての家計管理のシミュレーションや、自身の住居計画に伴う住宅ローンの費用など、今後の人生に直結する内容も多いです。

こうした金融教育により、高校生は早い段階で金融に関する基本的な知識と、それを実生活に活かすスキルを身につけることが期待されています。

いくつか例を見てみましょう。

資産運用や資産形成

高校の金融教育において、今回の義務化のなかでも大きな変化が、資産運用や資産形成についての授業が組まれる点です。

NISA(少額投資非課税制度)の利用が18歳から開始されるに伴い、資産形成の基本知識がますます重要となります。

このため、高校の金融教育では資産を増やすための方法や利息がどのように計算されるのか、さまざまな金融商品の特色、投資におけるリスクと収益の関係、投資の結果としての利益や損失を自分自身で責任を持つことの重要性など、資産運用や資産形成に関わる重要な知識を身につけます。

クレジットカードやローンの利用

クレジットカードは資金が不足しているときに便利に活用できますが、利用には適切な知識が求められます。

例えば、お金を借りる際には、元の金額だけでなく、それに加えて利子も一緒に返す必要があります。

このような、ローンのメリットデメリット、活用方法や危険性などを学び、将来の上手なローン契約の助けとなる内容を扱う授業です。

詐欺やマルチ商法などの金融トラブル

世の中には、投資詐欺やマルチ商法のように、人々を欺くためのさまざまな手口がありますが、正しい知識があれば回避できます。

例えば、一般的な金融トラブルの手口を把握しておくだけでも、怪しい話を見極める力の育成に効果的です。

もし何らかのトラブルに遭遇した際には、適切に判断して、契約の取り消しや無効を主張する手段を知っておくなど、高校生の間に習得しておくべき内容はたくさんあります。

金融教育をより深く学べるおすすめの学習教材

学生の金融教育は、義務化された金融教育以外でも、さまざまなリソースを活用することでより理解が深まりやすくなります。

今回は「小学生向け」「中学生向け」「高校生向け」の3パターンごとに、おすすめの教育リソースを紹介します。

小学生向け~うんこドリル×金融庁 うんこお金ドリル~

子ども達から大人気の「うんこドリル」と金融庁がコラボレーションしたお金のサイトが登場しました。

このサイトでは、クイズを解く楽しさを通して、金融や経済の基礎を学んでいけます

かわいいイラストやひらがなを多用した文章など、小学生に優しい設計なのでとりかかりやすいです。

さらに、「新成人向けうんこクイズ」の名で、過剰な借り入れや闇金利用のリスクについての啓発動画も配信されており、高校生から新成人までの多くの方にもおすすめです。

参考:うんこドリル×金融庁 うんこお金ドリル

中学生向け~中学生から身につけておきたい賢く生きるための金融リテラシー~

お金の起源から家計の取り扱いまで、中高生に向けた広範な金融知識を提供する書籍です。

10代からは、お金との関係をどう築くかといった点や、適切な金融知識などの習得が大切です。

お金に関連するトラブルは大人になったとしても避けられません。

そのようなトラブルを未然に防ぐため、この書籍では金融リテラシー、すなわち適切な金融知識と判断力を磨くためのヒントを紹介しています。

豊富なイラストや図表で、難しいテーマも分かりやすく解説します。資産の築き方や人生設計に関する部分も含まれており、中高生だけでなく家族全員が金融知識を高める手助けとなります。

高校生向け~アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書~

金融の奥深さや魅力に興味を持ち始めた高校生には「アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書」がおすすめです。

金融用語やお金の動きを明確かつシンプルに解説しており、学校で学んだ金融教育の内容をさらに深化さできる内容になっています。

特に高校生の間で、この書籍を一年間の指南書として活用することで、日常生活や経済との関わりを感じ取り、お金の重要性を実感しやすいです。

さらに、身の回りの出来事と経済のつながりを見つけ、深く理解する手助けをしてくれるので、読者はお金や経済に対する新しい視点を得られます。

 

金融教育が義務化されたことにより日本の金融リテラシーが向上する

この記事では、学校での金融教育が義務化されたタイミングや、金融教育の内容について解説しました。

以前から、学校の授業では金融に関わる内容を扱っていましたが、高校での金融教育が義務化(必修化)されたのは2022年4月からです。

この背景には、資産運用の必要性や成年年齢の引き下げ、そして諸外国と比較した際の金融教育の遅れが挙げられます。

お金の知識は、私たちの生活に密接に関わっており、日常の中での正しい理解と取り扱いが求められています。

特に、キャッシュレス決済が盛んになる中、お金の適切な使い方や遭遇するさまざまな場面についての知識は必須です。

家庭内でも、親子間でお金に関する話を共有するのは有意義です。

「キッズ・マネー・ステーション」では、幼時から大学生への金融教育に対応しています。

親子での参加もできるので、ぜひ参加して親子で金融教育や金融そのものへのいしきを高めてください。

金融教育は「キッズ・マネー・ステーション」がいちおし!

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金融教育に力を注ぎたい場合、学校での授業だけでは不安が残ります。

というのも、金融教育が義務化されてからはまだ間もなく、教える先生や教材のレベルが十分でない恐れがあるからです。

そこでいちおしなのがキッズ・マネー・ステーションです。

キッズ・マネー・ステーションでは、小学生や中学生、高校生はもちろん、幼児や大学生に向けた金融教育を提供しています。

投資や資産運用、貯蓄など、お金に関するさまざまな内容をわかりやすく解説してくれるので、金融に関して苦手意識がある方でも安心です。

また、親子で受講できる授業も展開しているので、家族でお金への意識を高められます。

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